前回読んだ時は、かなり混乱の中でストーリーが強制終了した気がしてなんか腑に落ちなかった。今回も全てがすとんと落ち着いた感は一切ないものの、なんかそれなりに尾の引きようも悪くないし、なにせ俺っちとナカタさんとカーネルサンダースが面白くて、考える余地を与える作品としてすごくいいものなんじゃないかと思えた。
「世界のあらゆるものはメタファーだ」を引っさげた哲学思想的要素があらゆるところにちりばめられた長編だったため、とにかく1000ページを読み切るのに体力の消耗が激しかったことは間違いない。抜粋したい程、それ単体で十分一冊分の作品として成り立つような深い哲学思想がふんだんに盛り込まれ、ひとつひとつ細く狭く深い所にもぐって行ったと思ったら、今度はぐーーっと引いたところから見渡す。村上さんの頭はどうなってるんだと言いたい。作者本人を前面に押し出した作品に思う。
つまり彼の難解な長編、これ自体がメタファーということなんだろう。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
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