高校生の時に一度読んだっきり久しぶりに手にとってみた一冊。好きだった、という漠然とした記憶はあったが、これほどの作品だったとは。
ドイツの児童文学として有名な本で、巻末にも小学5,6年生から、と書いてあるが、大人になってから読んで初めてよさがわかるんじゃないかと思う。時間貯蓄銀行の恐ろしさは、大人になって、気付かぬ間に時間を貯蓄し始めた人じゃないとわからないんじゃなかろうか。これは子供でもなく、大人になりきってもいない、ちょうど私くらいの年齢で読んでよかったと思った。
時間を節約してるつもりが、結局は時間を、そして人生を失っていることにはなかなか気付けないかもしれない。実際、一時期貯蓄家になってしまっていた私も、今となれば残念に思うこともたくさんある。
この本が書かれたのは1970年代。場所はドイツ。宮崎駿氏同様、Michael Endeの洞察力と先見力は非常なまでに優れていたんだろう。まだ色々な問題が水面下にある状態で、戦敗国の、日本人と似たような気質の人間が見抜いたことを、将来を託した子供達に伝える一番の方法がこれだったに違いない。
モモが遊ぶことの定義を示唆する場面も私は個人的に好きであった。
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